逃げるか、戻るか

今週前半にはどちらかを決めなければならない。決めた上で、それなりの procedure を経なければならない。二重の覚悟が必要だ。僕の人生にとってはおそらくほんの些細なことだろうけれども、この一ヶ月間の僕にとっては重大事だ。何しろ僕を崖っぷちに追い込んだ――というよりも僕が勝手に自分で追い込まれたのだが――あの環境に戻るかどうかが掛かっているのだから。
できれば逃げたい。そう思っている通りに、頭の中では逃げたい自分が優勢だ。「今さら戻ってどうする」「またあそこで変なミスをしたらどうする」「戻ったところで腫れ物扱いだ」「このまま逃げてしまえ」。そんな意見が僕の頭の中評議会の議場の空気をほとんど占めている。
対して戻る自分はどうか。「このまま逃げたら文字通り逃亡者だ」「人間として恥ずかしくないのか」「残りの期間少しでも金を稼げ」「契約期間中なのだから契約通り働け」。戻るという勢力は正論で攻めて来る。確かに契約が残っている以上、戻って働くことが雇用者にとってもこっちにとっても最善なのだろう。それをほっぽり出して逃げるというのは、同時に上の人への恩を投げ捨てるようなものだ。僕の社会性が疑われる可能性だってある。と言っても逃げ出した時点で社会性にクエスチョンマークが付けられているんだろうな。
暇な半日の出勤だけならやっていけそうだが、一日勤務は苦しいかもしれない。長い時間勤める分だけミスを犯す確率が上がるのだ。それに対して極端に怯えている。
二つの覚悟を決めるのには先延ばしはできない。できるだけ早く決めなければ、逃げるにしろ戻るにしろ迷惑が掛かる。どうすれば。どうすれば。