することがない

田舎に連行されているからすることが何もない。外は暑いし出たくない。読書は面倒だからしたくない。音楽はうるさいから聴きたくない。ゲームも何だかやる気が出ない。ちょっとだけ家事を手伝う他は、今の馬鹿みたいな状況に身を置いた自分を蔑みながら、冷房の爽やかな恩恵を受けつつただただボーっとするだけだ。
これで窓際の椅子に座って空を眺めて何を語りかけられても「お空きれい」とだけ呟くようになれば完璧な廃人の出来上がりだが、幸いにも僕の頭には物事を考える余裕がまだあった。しかし考えるといっても、どうしようもなく下らない将来への不安や今さらどうにもならない過去の出来事の後悔について考えることくらいしかできない。どうしても明るい物事については考えられない。だから僕の心は陽が沈むようにますます暗くなっていく。一度傾きかけた太陽は沈んでいくしかない。僕の心も沈んでいくしかない。
もうだめだ。もうだめだ。――何がだめなんだ、――全てがだめだ。――どうだめなんだ、――どうにもだめだ。
本当は何も考えない方がいいのかも知れない。何も考えなければ、思考が負のスパイラルに陥ることを避けられるだろう。しかしすることがないから考えてしまう。どうしても考えてしまう。
沈み切った太陽も夜が明ければまた昇って来る。僕の夜が明けるのはいつだろう?