再度「まだ働かなくてもいい」

暑いので実家に帰ってきている。たぶん世の中の僕と同世代の真面目な働き者は、実家に一ヶ月近くも帰るための休みも取れないのだろう。時間が自由に取れるのは、無職の特権だ。囚われる仕事もないから、一日中好きなことをしようと思えばそうしていられる。実家に帰ろうと思えば帰れる。僕は時間的には全く自由だ。
けれどもその自由な時間に、僕は特に何もすることがない。することもなくただテレビを寝っ転がって見ていて、ふと気付くと、心の中が重い。「みんな働いているんだ」「僕は何をしているんだろう」などということを思い始めると、その重いものが心の底を破って地球の核まで落ちていきそうな気にさえなる。僕はもう、「みんな」と同じではないのだろうか。今後も「みんな」と同じような「普通」にはなれないのだろうか。
僕はこの秋から働く心積もりだ。どこかに雇って貰えるとはまだ決まってはいないが、僕の方ではどこかで働き出すと決まっている。ただ実際その時が近付けば近付くほど、働きたくないという思いが再び盛り返してくるのだ。そして頭の中の僕が「まだ働かなくてもいい」と囁く。
僕は確かに少し前には、働こうと決めた。それが揺らいでいる。「まだ働かなくてもいいんじゃないのか?」と。おかしい。働かなくちゃいけないのに。働かなくちゃいけないはずなのに。