猿の自慰

昔まだバイトをしていた頃に某 SNS で日記を書いていたら「お前の文章は読みづらくて仕方がないんだよコラ」とコメントで難癖に等しい指摘を受けたことがあった。なんでもその人によると、一文が長い、一段落が長い、改行してすぐに段落を始める、そういう点が気にくわなかったらしい。
こっちだってあれですよ、別にどうしても読んで欲しいから書いているわけじゃないのでヒーコラ言って苦しみに悶えながら読まなきゃならないほど読みづらかったら読まないでもいいですよ、とかそんなこと思いながら、「ああこんな僕のために有り難いご指摘ありがとうございます嬉しいです」なんて猫を被ってコメント返しをした。
だいたい気に入らないと言われても、こちら側のポリシーに則った書き方をしていただけなんだから仕方がない。意味でまとまりのある段落はそんなに頻繁に変えるものじゃない。かえって段落が多すぎると何を伝えたいのか解らなくなって読みづらくなるとさえ思っている。バラバラ殺段落事件は起こしたくない。それに二つ以上の改行もそんなに多用するべきじゃない。どこかのテキストサイトじゃあるまいし。

なんて、何がポリシーだ。違う。高尚ぶってんじゃねえよばか。
一言で言えば、僕は猿だったのです。猿の僕は、読みづらい日記を人前に曝すという形でオナニーをしていたのです。

おそらく SNS で読みづらいと指摘してくれた人は、人前でオナニーすることの恥ずかしさを知らずに陰部を擦り続ける僕を戒めてくれたのでしょう。それにも関わらず、僕は今までずっとその恥ずかしさに気付かずにいたのです。
そしてようやく今、僕は気が付いたのです。

ついに僕は人間になった。次は労働者になろう。