6 月以降のこと

6 月はあまりよく憶えていない。季節としては梅雨に当たる頃だから、雨が降っていたのだろう。
7 月は暑かったので残りの有給を使ってほとんど家に引きこもり、寝転がりながら高校野球の地方大会を見ていた。冷房を昼夜問わずガンガンつけまくっていたせいか、電気代がえらいことになった。どうしてこんなことに……。
8 月はほぼ毎日家に引きこもり、寝転がりながら高校野球全国大会をおそらく全試合見ていた。前月の反省を生かし、冷房の使用を抑えて窓を開けつつ扇風機を回したおかげか、電気使用量は前月比 -30 % を記録したので僕は満足だった。
しかしそんな寝転がってばかりの毎日が祟ったのか、9 月の頭頃から頭痛やめまいが酷くなってしまった。運動不足の上に変な姿勢でテレビを見るものだから、全身の筋肉、特に肩と首がおかしくなったのではないかと思う。
9 月の末頃からは意識して外へ出るようになって、いくらか頭痛やめまいは軽減されたように思える。この季節は暑くもなく寒くもなくとても良い。
そして 10 月に入ると、不安に襲われる。ベンゾジアゼピンをやめようとしているせいかも知れないが、不安に襲われる。

誰にも通じないと思うけれども、上の動画の 45 秒辺りからの HBO のロゴが近付いてくる部分、それを見たときに感じる恐怖に似ている。金属調の HBO ロゴは、20 秒ほど掛けて宇宙空間の向こうからじわじわとこちらへ近付いてくるだけなのだが、それが僕にとって恐怖なのだ。
早く来るなら来て欲しいのだが、来ないのだ。ロゴが現れて 10 秒経ってもまだあんな所にいる。その間に勇ましげな BGM は 4 小節過ぎていしまった。それからまた 10 秒経って、先ほどよりも近付いたロゴはくるくる回っている。それから虹色の光がロゴの表面か内部を這いずり回り始めて、終わりを迎える。ああ怖い!
いつ終わるか知れない長い時間をある短い瞬間から見たときに、それはもう宇宙の歴史と同じかそれ以上の永遠に相当するとんでもない時間として意識する。けれども短い瞬間が積み重なって、確実にそのとんでもなく長い時間が終わりに近付いていく。つまり僕は HBO ロゴが近付く速度が遅いことで、全体から見た短い瞬間というものをより強く意識してしまい、長い時間が終わるということが意識されるのかも知れない。
とにかく怖い。こんな毎日を過ごしていても 11 月もそのうち終わってしまう。怖い。