クレームおじさん

おじさんというか爺だ。お昼下がりのスーパーのレジに並んでいて僕の会計の番が来ると、僕の後ろに並んでいた爺が「何でレジが一つしか開いていないんだ」「待たせるな」などと大声でレジの店員に怒鳴っていた。
いやこの時間は繁忙時間帯ではないから、いつもレジは一つしか開けていないはずだ。あなた一人のためにレジの店員を増やすなんてことはできないだろう。それに僕の会計の時に変なことを言うのはやめて欲しい。店員が狼狽する余り会計を間違えたらどうしてくれるのか。
その爺の会計の番になっても、爺はまだ怒鳴っていた。やれ店員がババアばかりだの、やれ休憩取りやがってだの、随分と酷い物言いをするものだ。僕は気分が悪かったから嫌味の一言でも浴びせようかと思ったけれども、その爺の背が僕より高いので取っ掛かってこられたら困るし、あるいは爺がもしも裏社会の人間だったら僕は明日海に捨てられているかも知れないと思ったのでやめた。
爺はしまいには店長を呼び付けて何やら説教をしていた。かわいそうな店長。かわいそうな日本のサービス業。