人口密度が高い、つまり

つまり、それだけ色々な人がおり、遭遇する機会が多い。当然、人の性質もそれぞれだから、人口密度が高いほどその異なる性質同士がすれ違う可能性も高い。最近になって、この今の集合団地というものの特殊性に気付かされた。この件もそうで、今日は今日でまた嫌な光景を目にした。
帰り道の団地の敷地で、自転車に乗った爺さんがこちらへ向かってくるのを見掛ける。ちょうどその時に、爺さんの後方に停まった車から若者が降りてきてその爺さんの前に立ちはだかり、何か大声で怒鳴っている。何も言わずきょとんとしている爺さん。明らかに、知り合い同士のじゃれた会話じゃない。本能的に嫌な感じがしたので歩く速度を下げつつ様子を見守っていると、気が済んだのか諦めたのか、若者は車に戻っていった。
その後自転車に乗ってこちらへ向かってくる爺さんには、特に表情もなかった。元々無表情なのか、突然怒鳴られたので強張って表情を失ったのかどうかは知らない。何か言われたのか訊こうとする思いもあったが、面倒なのでやめた。
若者が怒鳴ったのには、それなりに訳があるのだろう。爺さんが車に接触しそうだったりじろじろ見ていたりとかそんなイライラとさせる理由があったのかも知れないが、あんなに間近で爺さんに大声で怒鳴ってどうするんだ。どうにもいかない。
そんなのが起こるから、必然的に人口密集地となる集合団地は怖い。一軒家は一軒家で近所付き合いもあるが、集合団地のストレスはまたそれとは別のものだ。ましてや隣の部屋上の部屋がどんな人間かも知らない、むしろ知らない方がいいという人間関係が希薄になって当たり前という時勢だから、何が起こるかも分からない。住む場所が、謂わば満員電車の中。怖い怖い。