美術教師の思い出

絵の課題が出されたのでやってきたはいいが、ハサミを忘れたので絵の部分だけ手で千切るようにして切って提出したら、物凄く面倒臭そうな嫌な顔をしながらくどくどと嫌味を言われた記憶。その先生についてはそれしか思い出がない。
「この縁のギザギザなのがいいね!」とかそんなことを言う先生だったとしたらどうだろう。それも捉えようによってはまた嫌味にも聞こえるが、本人が嫌味ゼロだったとしたら相当な変わり者に違いない。心が広い狭いとは言うが、広さにも限度があって、常識の正規分布から外れた分別を持つ人は「変人」になる。課題の絵の縁はハサミで綺麗に切り取るのが世間の常識で、それを許すどころか褒めるような変わり者はそもそも美術教師になんてならないんだろう。
つまり、ハサミを持ってこなかった僕が悪い。