職場の人間関係

退職者の退職理由のうち、大きな割合を占めているのがまさに人間関係だろう。じゃあ人間関係そのものを無くしちまったらどうなんだい、と単純な僕は考える。
まず、職場内の私語は禁止。私語をしたら解雇。当然プライベートも干渉禁止。職員は全員互いに匿名。名前を訊くことも許されない。職場では真っ黒の全身タイツを着用し、全員同じ仮面を被る。これで顔も体も見えない。
しかしこれでも、業務上必要な会話において相手の感情との齟齬が生じた時に人間関係の軋轢の原因となる可能性が生じる。よって業務上の会話では独自の簡素な言語を用いる。そこには敬語も何もない。ただあるのは、意味だけだ。意味さえ通じれば業務は行える。
だとすれば、わざわざ言葉で会話するのも無意味どころか厄介の温床となり得る。たとえ独自の言語であっても、声の抑揚や調子で意味の捉え方はだいぶ違ってくるからだ。そこで言語のやり取りは、手元で定型文を入力操作し、胸に着用した LED 液晶に文章を表示させて行う。そこで残るのは真に意味だけとなる。
そして職場における人間関係は消滅し、不幸な退職者はなくなるのであった。ちゃんちゃん。
こんなことを思って、もう仕事なんて全部ロボットにやらせればいいじゃん、と感じた。