夜、ひとり

最近は夢を見ないな。憶えていない。軸足が現実に移ると、夢を記憶する労力にエネルギーを割いている余裕なんかないってか。
その割には、現実は上手く行っていない。これまで上手く行ったためしも数えるほどしかないが。もう何か運を使い果たしてしまったような気がする。
いや、運じゃないな。一生の中で限られた分だけ消費される運というチケットのようなパラメータが本当にあるのなら、僕に割り当てられた運はどれだけ低いんだよ。こんなのは信じない。上手く行くも行かないも、自分次第だ。
そして僕はその自分次第というルールの中で、意志も持たず、逃げ続け、怠け続け、恐れ続け、楽な方へ楽な方へと流されてきた。この一文で、今現在の僕の置かれている状況に対する理由と説明ができてしまう。
僕はどうなっちゃうんだろうなこれ。自業自得すぎる。自嘲の嗤いすら出やしない。
百歩譲って過去は水に流して考えてくれるところがあったとして、問題はこれからということになると、それも自信がない。自信というものは過去の経験が豊富であるほど強まるものだから、過去がいい加減ならば自信なんて湧くわけがない。過去が薄っぺらい人間が「自信がある」と豪語したところで、それは虚勢でしかない。
だから結局過去は無視できないものであって、様々な場面で過去が重視されることになる。就職においては経歴にあたる。その経歴が散々だからダメだ。それでも、同じ散々な経歴を持った人間がいたとして、ダメだダメだと諦めて腐る人間よりはどこか前向きに捉える人間の方が少しはマシだろう。
経歴が散々なら、いっそ経歴に縛られずに食っていけるものを目指すのもいい。かつて僕はそれを「脱獄」と呼んだ。けれどもそれは明日の自分がどうにかしてくれるだろうとここでも逃げ続け、結局何もしないまま月日が流れて行ってしまった。
「脱獄」すらある意味「逃げ」の要素を持つものなのに、それからも逃げるなんて。本当に逃げ続けている。
何をするにしても、そろそろ真剣に向き合う必要がある。もうあまり、僕には時間がない。