言語って何なんだろう

メールをやり取りしている例のペーターさんについて、またいやらしいストーカー紛いのことをして調べたら、香港在住の五十路近いベテランウェブデザイナーさんだったでござる。顔までは分からなかったが、経歴を見ると欧米人のようだ。そして七カ国語を操れるハイパーマルチリンガルらしい。しかも日本語を含めて!
ということは、この人は実は片言でも日本語でメールができたりするのだろうか? それならば、僕が変な英語を書いていないかヒヤヒヤしながらやっぱり変な英語で書いてしまうメールを送る必要はないんじゃないか、と思った。
しかし日本語なんてほぼ日本人しか使っていない、世界的に見れば極めてローカルな言語だ。日本の裏側へ行ったら日本語なんて最早通用しない。お隣の国でさえも日本語はきっと通用しない。
一方で英語は世界中の国々に習得者がいて、どこの国でも教育水準の高い人のいる場所では大抵英語が通じるだろう。事実上の世界標準語だ。優劣についてはどの言語間においても存在しないと思ってはいるが、広く普及しているという点では英語は日本語とは比べようもない巨人だ。それでありながら「僕あんまり英語得意じゃないから、できたら日本語でメールしてくれる?」なんて要求するのは、恥知らず以外の何でもない。
だから結局、僕は変な英語を書いていないかヒヤヒヤしながら変な英語を書くしかない。いや、「変な英語」というのは必要以上に卑屈な気がする。卑屈もまた嫌だ。ここは開き直って、意味が通じればどうでもいいんじゃないか、と思うしかなさそうだ。
欧米の人は生まれた時点で人生チートだな。例外もあるが、英語と文字も発音も言語構造も似た言語が母国語なんだから、英語の習得なんて日本人が行うよりも簡単に決まっている。国に雇用がなければ英語覚えちゃえばイギリスでもアメリカでも、いや全世界行けちゃうし。
違う、何かおかしいな。チートだの何だのって、これじゃただ僻んでいるみたいでいよいよみっともない。英語覚えたらどこへも行けるのが羨ましいなら、自分が英語をマスターして同じことをすればいいだけの話だ。ペーターさんが七カ国語をマスターしたように。
もっと違うのが、今の状態の僕がこんなことを考えていること。