フリーター

アルバイトでも僕のやっている仕事の内容は正社員と全く変わらない。というか職場の部署に正社員がいないから本来正社員がやるべき仕事も僕がやるしかない。上からはいつでも正社員にさせるという話があるし正社員になって週五のフルタイムで働いたっていいんだが、この仕事を続けて将来が見えないからあんまり正社員になろうとは思えない。正社員になったところで将来に不安を感じて辞めたら無駄な職歴を増やしてしまうだけだ。だから今はまだあまり正社員になる気になれない。正社員になりたくてもなれない人がいるこの時勢では贅沢な選択かも知れないが、僕にとっては真摯な選択だ。他人との比較なんて意味がない。
結局アルバイトとして勤め続けるわけだが、それは自分にとってプラスなんだろうか? 分からない。本当は正社員になって金を稼いで蓄えた方がいいのかも知れないが、僕は将来の見えない仕事に時間を割くよりも自分にとって精神的に満足する時間が欲しいのだ。
分からないというか多分僕は馬鹿なんだろうと薄々気付いている。正社員の道が開けていながら自分からフリーターという道を選ぶなんておかしい。狂っている。僕の内的事情を知らない人間からすればそう思われるはずだろう。
しかし単に正社員という道に進むのが怖い。大企業でもない小さな企業の正社員。しかも将来性の見えない職種。一度正社員になったらそれこそ泥沼にはまるような気がしてならない。不安しかない。
からしばらくはバイトの身分でいようと思っているが、これもこれで不安しかない。確かに時間はあるが、収入も劣るし社会的な地位も良くない。このまま一生続けられるわけがない。結局僕は、正社員とアルバイト、どっちを選んでも不安なのだ。この職場と職種である限り。
世間で言われる大企業。大企業は確かに安定している。小企業で働くよりも将来が見えている。だからこそ職種を問わず大企業を選びたがる人間が多いんだろう。特に新卒は。
今のところ僕の職種では大企業にも就職口はある。しかし職場も遠いし転勤を伴う仕事だと言って敬遠した。根底にあるのは、面倒臭いという思いなのだろう。朝早く起きるのも、満員電車に乗り込むのも、九時間拘束されるのも、残業するのも、夜遅くに帰ってくるのも、全て面倒臭い。
だから転勤もなく自宅から近い職場がいいと言って僕は小企業を選んだ。そして愚かにもその選択に不安がっていて、正社員にもなろうとしない。
僕は何がダメなのか見えてきた気がする。面倒臭さと将来への不安とどちらを取るべきか。答えは明らかだ。新卒が群がるように、大企業に行くしか不安を取り除く手立てはない。けれどもそれでも、リストラがあるかも知れない、リストラされたらどうしよう、という新たな不安が頭をよぎる。何だ、結局どこに転んでも不安だらけだ。
資格というか免許を捨てて一般の公務員になるという方法もあるが、それだと僕の大学で過ごした時間は何だったのかという話になる。一番いいのは免許も生かせる公務員だが、倍率高いし勉強もしなきゃならないしな。
公務員か……。