靴下の穴

靴下に穴が空いている。しかし捨てるのはどこか可哀想だ。一部分だけ穴が空いたくらいで捨てられては靴下もたまったものじゃないだろう。しかし縫って使い続けるのも貧乏くさい。穴が空いたまま履き続けるのも他人に見られては恥ずかしいことこの上ない。結局捨てなければならない。
この、捨てなければならないが捨てるにはモノに愛着が湧いてしまっている状態、どうにかならないだろうか。捨てる決心がつかないから、タンスの中には穴の空いた靴下が捨てられないままビニール袋に入れられて溜まってしまっている。「靴下供養」なるものがあれば安心して捨てられるかも知れないが、靴下にいちいち供養を掛けるのは大仰すぎて笑えない。
心や生活上の要求を満たすためにモノを溜める。しかし要らなくなったモノも溜まる。僕の部屋は将来天井までモノが溜まっているゴミ屋敷となって、夕方のゴミ屋敷特集で取り上げられてしまうかも知れない。