ハトが交尾をしていた

駅前の通り道を歩いていると、何だかしおらしい様子のハトが二匹おり、一匹がもう一匹の上にそわそわと乗っかるのを見た。そんな彼らの様子を見た瞬間、僕はもう「これは交尾だ! ハトの交尾だ!」と内心わくわくして、そのまま事が終わるまで彼らが彼らの新たな歴史を紡ぐ瞬間を見ていようと思った。
けれども人通りの多い道の中でハトの交尾を見続けている人間、そんなのは傍から見たら怪しすぎることこの上ないことが容易に想像できてしまった。彼らの性の営みが始まるのを横目で見つつ、残念ながら僕はその場を去るしかなかった。アーメン