孤独ぼっち

人の輪を外れたか外された経験のある人間がまた別の場所の既存の輪に入り込んでいくのは、相当な勇気が要る。かつての記憶のように輪から外れ外され、再び惨めな思いをするんじゃないかという怯えが心の中に充満していて、それならば自分は輪と関わらない方が幸せなのだ、もう最初から自分は輪とは無関係なのだと決め込んで、あえて輪から遠ざかろうとする。自分から独りになっていく。
独りだ独りだと本心から割り切れればいいのだろうけれども、大抵の場合この決め込みは本意ではなくて、自分も輪に入りたいが傷付きたくないので入らないというただの逃避でしかない。輪への未練があるから、周りに輪があるとそこへ入れない自分と対比して酷く疎外感を覚える。時には鬱陶しささえ感じる。そんな感情を覚えるそもそもの原因は、まだ何の関わりもない段階で恐れ戦いて自分から入ろうとしないことにあるのだから、自分勝手も甚だしい。
自分が輪が嫌だからといって避け続けても、輪そのものである社会からは輪がなくなるはずがない。そんな輪に入りたい、入れない。一生この葛藤と対峙していかなければならない、その上相談する相手もいないとしたら、精神的な限界を迎えてしまうかも知れない。
こうなると、小学生の頃に友達と友達になった経緯や関係を維持できた理由さえ分からなくなってくる。根本的な何かを忘れてしまったか。