あるゴタゴタ

職場に送られてくるある雑誌で巻末の方にお詫びと訂正があったので見ると、以前の号のある特集で取材したある職場で行われたある研修の集合写真の画像が「不適切」だったというので、あらためて何の変哲もない集合写真が載っけられていた。その不適切だったという写真を是非見たかったのでその以前の号を引っ張り出して探し当てて見ると、同じ集合写真の中で一人だけ、何故か顔にモザイクが掛けられていた。同じ人が写っている他の写真は普通に写っているのに。何だこりゃ。
お詫びの文章によると、不適切な加工はその職場の実質一番上の立場の人である代表者が無断で行ったという。モザイクを掛けられた人はその職場の従業員だか外部の職場から研修に来たよそ者か知らないが、いずれにせよこの集合写真の笑顔の裏に嫌なゴタゴタが渦巻いているのを感じた。
集合写真で特定の人間一人だけ顔をぼかすなんて、しかもそのまま雑誌に載せるなんて、明らかな嫌がらせ以外の何でもないだろう。例え後で修正するつもりだったものが誤って載せられたとしても、モザイクぼかしは行われたのだ。明確な悪意を感じる。もしかすると、それは読者の知り得ない場所で起きたその人たちのゴタゴタの内に被った悪意に対する報復としての悪意なのかも知れないが、何も知らない読者からすれば一方的な嫌がらせとしか思えない。
あるいは、第三者がその代表者とモザイクの人を貶める目的で誰も知らぬうちにすり替えたとか。色々考えると、妄想が膨らんで奇妙なミステリーになる。けれども本当の事実は読者には知り得ない。やっぱりどこか嫌な気分になるのは変わらない。
雑誌のお詫びにはあらためてお互いの本名も載っけられている。名誉の回復か懲罰的な意味合いか知らないが、モザイクの本人あたりから苦情があったのだろう。しかしこの奇妙な加工が行われた写真をそのまま載せるとは、雑誌の編集フィルターもあまり機能していないようだ。
こういうゴタゴタがあるから、人間は気持ち悪いよ。