馬鹿

「僕は一人で仕事がしたいのです。環境さえ与えられれば、誰かと仕事をする時よりもより高く、場合によっては僕自身の最高のパフォーマンスが出せる。ええ、確かに僕には協調性がありません。他人との交流は、苦しみという熱を生み出す摩擦となり、僕にとっては著しいストレスにさえなり得ます。ですから他人と一緒に仕事をする時、僕は常に強いストレス下に置かれることになり、そのために僕自身の本来の能力を発揮することができません。時として、病むことさえあるでしょう。これは文字通りの死活問題です。仕事に対して能力を発揮できない僕は、ただの無能です。給料泥棒です。いや、泥棒どころではないのかも知れません。給料さえ貰わないうちに居なくなる。そんなことも考えられます。そうなれば、僕は社会的に死ぬより外にありません。では僕が社会的に活きるためにはどうすればいいのでしょうか? それは、一人で仕事をすることです。内の殻に閉じこもりがちで、他人との協調を生み出せず、延いては疎外される。そんな僕は、一人で仕事をするしかないのです。そうです。“したい”のではなく、“するしかない”のです。社会的な死を恐れる僕は、その恐怖心によって“するしかない”を“したい”という願望に変えているだけなのです。これは独り善がりでしょうか? 生き残るために一人で仕事をしたいと願う気持ちは、身勝手なものでしょうか?」
「じゃあ、個人事業主になればいいじゃない」
「けれども僕にはそんな力はありません。知識もありません。人脈もありません。資本もありません。実績もありません。ですからそんなのは無理な話です。確かに一人で仕事をするという環境としては、取引などを除いて最高なのでしょうが、その前にまず力を付ける必要があります。そのために、組織に属する必要があるのです。その中で、一人で仕事をし、社会的に生きながら、本当に一人で仕事をする時のための力を付けなければならないのです」
「Something tells me that there's a parasitic worm in this workplace.」