ある比喩

例えば部屋を探していて、少し古いがまあ家賃も安いし交通の便も良い物件があって即入居するとする。しかしある程度暮らしていると、実はネズミやらゴキブリやらが多く現れる部屋だったことに気付く。大家には気兼ねして言えない。嫌なら出て行け、ということになる。
ではどうするか。自分でねずみ取りやらホウ酸団子を家中に置いて一匹一匹駆除するか。けれどもそれは根本的な方法じゃない。もうこの部屋のある建物自体が、ネズミやゴキブリの巣になっているのだ。それなら、いっそ建物を新たにするしかない。しかし自分にはそんな権限がない。大家への提言すら憚られてできない。
結局、ネズミやゴキブリが出没するという問題を抱えた部屋の中で暮らすしかないのだ。
現実に対して、そんな比喩をする。