そもそも辞めたい理由というのが

それがはっきりしない。確かに僕の人間関係は希薄で孤独さえ感じるし仕事はつまらないが、仕事が山ほどあるというわけでもなく残業もほぼない。楽といえば楽すぎる環境にいるのだが、それでも辞めたがっている。
「何となく」辞めたい。これで辞めたら一時的にはすっきりするんだろうが、後々になってから後悔するに決まっている。金があるうちはまだいいが、とうとうマクドナルドのバリューセットすら贅沢に思えてくる頃になれば、また働き出さなければならないと思い動き出す。そして今度はまた短い経歴が上乗せされたヘボい経歴の履歴書を送り、遠い場所へ行って面接を受けるも、寝ていると電話が掛かってきて「お断りです」と言われるのだろう。その時になって「あの時辞めなければ良かった」などと思っても手遅れ、覆水盆に返らずだ。
そんな手厳しい未来が頭の中に見えているはずなのに、わざわざそれを現実にしようと辞めたがっている。僕はいつ精神的マゾヒストになってしまったのだろう。
一度身に付いてしまった怠け癖や逃げ癖はなかなか消し落とすことができない。もしかするともう一生消えないのかも知れない。「馬鹿は死ななきゃ治らない」という慣用句が言うように、人間である限りずっと怠け続け逃げ続けるのかも知れない。
おかしいなあ。おかしい。