これが悲しいということなの

亡骸は遺体であり死体だ。けれども家族親族からすれば、事実としては話す能力も体温の維持能力などの生物としての機能を失って冷たい有機体集合物質となった遺体だとしても、それはやっぱりまだ家族なのだ。
と、亡骸と対面して思った。対面する前に感じていた怖さとかそんなものはなかった。何を怖がっていたのかももう思い出せない。
線香臭い体で帰ってきた。亡骸の顔を思い浮かべると、あれは今頃起き出してきていて飯でも食っているんじゃないかと思うけれども、現実としては残念ながら起き得ない。
やっぱり慣れないな。慣れないのが当然で慣れたくないし慣れたらいけないのだろうが、どうしよう辛い。