現状

予製のためにコデインリン酸塩散を量って分包機に撒いて均してから、これ本当にコデインリン酸塩散かしらと疑問に思い始めても誰も答えてくれない。ただ目の前にあるのは均された白い粉。一人唸り続けて記憶と格闘する。
前の薬局にあったような散剤監査システムが欲しいと言ったなら「もうこれ以上贅沢言わないで」と怒られちゃうだろうから言えやしない。それくらいに僕は二ヶ月前から今までに贅沢な我が儘を注文してきた。そうしてまでも、何とかしてあの前任者の呪縛から逃れたかった。そして変えられることは可能な限りがらっと変えてやって、標準的なやり方に近付けてきたつもりだった。
この過程は意外と楽しい。楽しいのだが、成果として結び付いているかどうかは分からない。成果が出たとしても一部署だけ、一人だけの話でしかない。職場全体としては、何も変わらない。変える力も方法もない。
どこかピンと来た点はあるが、現状を憂えている上の人たちの力になれない。というか意見することが許されない。それ以前に新人の意見なんか聞いてもたかが知れているか。