ニート中毒

ニートなんてしなければ良かったと今さら思う。だらだら過ごした日々で得たものは何もない。強いて言えば、その場その日の楽しみと年齢だけだ。資格があればいつでも働けるとあぐらをかいて、結局長い間働き出さなかった。
そりゃ確かにニート期間は楽しかった。早起きもせずいつ起きてもいいし、早寝をせずいつ寝てもいい、その上一日中好きなことをしていられる。毎日同じ職場に時間を掛けて行くなんてこともない。嫌な仕事を丸一日することだってない。一日という単位だけで考えるなら最高の生活だ。
しかしそれで僕は蜜の味を覚えてしまったのだ。あの生活の気楽さは一度覚えたら忘れられない。しかも二年。二年間も毎日僕はあの生活に浸っていた。蜜の味を覚えたどころではなくて、蜜の中で暮らしていたようなものだ。そんな人間が簡単に「まともな」生活に戻れるわけがない。
今苦しさを感じているのは、あの甘い甘い蜜の中から抜け出そうとしている最中に起こる禁断症状なのかも知れない。だとしたら。だとしたら、この禁断症状で感じる苦しみから抜け出せる日が来るのだろうか? 当然のように早く寝て、当然のように早く起き、当然のように仕事をする。そんな日々は今は想像できない。きっと遠い日に訪れることなんだろう。
苦しみから抜け出せるとしてもだ。今感じている変な不安は拭いきれないかも知れない。仕事の先が見えないこと、自分自身の将来が見えないこと。それら色々な複合的な要因が重なってさらに大きな不安を生み出しているような気がする。
全て一気に解決する方法なんてあるんだろうか? 分からない。