室外機騒音不安妄想

この実家の自室のエアコン室外機が本当にうるさいんだけれど、近所迷惑になっていないだろうか……。特に隣の家からすれば、家族団欒の間である居間が室外機の正面に位置しているものだから、このうるさい室外機の音はもろにクソ迷惑な騒音としてしか感じられないだろう。騒音が原因で起こった傷害事件とか結構世の中にはあるし、隣人が突然家に乗り込んできて刺し殺されたら困る。
ある日の夜中、室外機をけたたましく鳴らすエアコンをつけたまま暖かな部屋ですやすやと安らかに寝ていると、インターホンが鳴る。モニタを見ると誰の姿も見えない。こんな夜中に誰だろう、ガキの悪戯ならとっちめてやろうと思って玄関を開けると、突然人影がドアの陰から現れたと思いきやその直後僕の意識は途絶えてしまう。痛みを感じる間もなく、悲鳴を上げる間もなく。そうして僕はそのまま黄泉の国へと旅立っていく。後に世間で室外機騒音殺人事件と呼ばれる出来事であった。
嫌だ。僕はまだ死にたくない。死にたくない。
現実的常識的に考えれば、室外機にせよ何にせようるさければまず苦情が来るだろうから、夜中に突然殴り殺されるなんてことはあるわけがない。馬鹿らしい。