朝起きられないんです

生活リズムを取り戻そうと、せっかく睡眠導入剤を飲んで日付が変わった直後に早寝しても、結局起きるのが正午近くじゃなあ……。三日続いてそんな状態だから、自分に幻滅する。
起きられないとは言っても、確かに午前七時頃になると目覚まし時計がけたたましく鳴っていたという記憶はある。目覚まし時計だけではなくて、携帯やラジオも時間差を入れて鳴るように前日にセットしてあって、実際にそれら全てが鳴っていたのも憶えている。そして起き上がって、それらをことごとく他でもない自分の手でしっかりと止めたという記憶もある。
しかしその後は意識を完全に鮮明な状態に移すべく起き上がることはなくて、再び布団にだらんと倒れ込み寝入ってしまう。それすらも憶えている。夢を何話も見るのも、この二度寝、三度寝、四度寝が原因だろう。
医者は「やることがないから起きる意志が出ない」と言っていた。全く以てその通りだ。今現在の僕はただ生きているだけだから、別に午前中に起きなくたって、夕方近くなって起きたって、そもそも朝起きなければならない理由がないのだから、生きるだけという生活には何の支障もない。午前にやることを作ればいいのだけれど、何もない。学校や仕事のある人は、午前に登校、出勤しなければ自分の社会的な役割を果たせないから半ば義務的に起きるのだろう。それがない人間はまずどうしようもない。
どうすれば起きられるのだろう? やることを作る。働くことが手っ取り早いが、まだそうもいかない。だいいち働くには、朝早く起きるという習慣を身に付けておく必要がある。それがないうちに働き出すとボロが出そうで怖い。だからそれ以外で、何もない状態で起きなければならない。
以前は、部屋にある二十四時間動かしているサーバで七時近くなると大音量の音楽が鳴るように cron で仕掛けておいたことがある。うるさいと誰かに迷惑が掛かるから、音楽を無視して寝続けるわけにはいかずにどうしても止めなければならない。それで止める方法は、まずサーバにメールサーバを構築して、インターネットを通じて携帯からそのサーバに「音楽止めて」とメールを送り付けると、procmail 経由で音楽を鳴らしているプロセスを kill して止めるという方法を取った。このメールを送るという作業を通じて、自然と意識が目覚めることができていた。
この方法はなかなか良かったと自負しているけれども、ある時からわざわざメールを送るのが面倒くさくなって今はもうシステムごと放棄してしまった。また構築し直すのも煩わしいから、もう二度とやらないだろう。
パズル式の目覚まし時計などがあれば面白いと思うが、起きられないという理由で新しく買うのも馬鹿らしい。もう本当に気合いを入れて起きるしかないらしい。